私は過去にJNCCで、「FUN-C表彰圏外→2年後COMP-Bシリーズチャンピオン」という「超・急成長」をしました。
「へぇ~!そんなエグイ人ほんとにいるの!?」と思った方へ、私の自己紹介はコチラ
JNCCやWEXのレースに参加されたことのある皆さんは、順位を上げるためにどんな練習が必要だと感じていますか?
このような感じではないでしょうか?
私もカコにまったく同じことを思っていました。
オフシーズンにひたすら基礎練をしまくり、「意気揚々と」迎えた2024年ビックディア広島戦。
【まだ広島が終わらない】
「ボルトまで洗濯の必要があったよ」とスーパーメカニックおやぢより。
砂、砂、砂……。
マディの広島恐ろしい…😭 pic.twitter.com/a8PnKL2fhk
— くんすけ@練習の虫🐛#05 (@kunsuke5_com) March 30, 2024
マディコンディションで惨敗…。
「今度こそ上位入賞!」と鼻息があらくなっていたのもあり、かつてないほどの絶望を味わいました。
絶望に打ちひしがれる中、優しい師匠にいろいろなアドバイスもらったおかげで、なんとか立ち直ることができました。
そしてこれから上を目指すにあたり、何を練習していくべきか考えた結果、衝撃的な事実に気がつきました。
気がついたときにはまさに、「頭をハンマーでたたかれた」ような衝撃でした。
私は「全日本クロスカントリー選手権」に出場しているのに、「全日本基礎練選手権(笑)」用の練習を積み重ねていたことに気がつきました。
その後エンデューロの各セクションを「練習項目」として深ボリし、総合的な実力アップを狙ってさまざまな練習を取り入れるようになりました。
この「練習項目」という考え方は特に初級者・中級者の方には重要で、がむしゃらに練習していてはレース成績アップに繋がらない可能性が高いです。
そこで初級者・中級者の方にむけて、優先的に取り組むべき練習項目を紹介し、徹底解説していきたいと思います!
この記事は以下の方に参考になります。
- レース成績を上げたい方
- 総合的な実力を身につけたい方
- 何を練習したらよいか分からない方
JNCC&WEXのコース構成要素
構成要素は以下の通りです。
- ゲレンデセクション(グラストラック)
- ウッズセクション
- ヒルクライム&ダウンヒルセクション
- モトクロスコース
- ロックセクション
- 特殊セクション(丸太、タイヤなど)
ゲレンデセクション(グラストラック)
コースがスキー場のとき、大部分を占めるのがゲレンデセクション。
レース開催が浅めな会場は、グラストラックの割合が多くなります。
特徴は以下の通りです。
ウッズセクション
カコ5年以内では減少傾向にありましたが、最近では「X-JAM高井富士」で使用されるウッズが拡大されてきています。
特徴は以下の通りです。
- 狭いトレイルやタイトなコーナーが連続するテクニカルエリア。
- 地面には根っこ、石、倒木などの障害物が多く、スムーズなライン選びが重要。
- 視界が遮られることが多く、ブラインドコーナーや切り返しが出現する。
- マディは滑りやすくなり、難易度が上がる。
- フロントアップが必要な丸太が設置されることがある。
ヒルクライム&ダウンヒルセクション
エンデューロの醍醐味である「ヒルクライム&ダウンヒル」は、難易度が上がるにつれてタイムアップに繋がりますが、スキルの習得が難しくなります。
特徴は以下の通りです。
- ヒルクライムでは急斜面や不規則な地形を登るため、勢いとトラクションの維持が必須。
- 適切なライン取りができないとスタックしやすく、大きなタイムロスになる。
- ダウンヒルではブレーキングバランスと重心移動がポイント。スピードを抑えすぎると安定性を失う場合も。
- 路面が砂利や泥、岩場など複雑なことが多く、天候や路面状況によって難易度が変化する。
- 他ライダーの動きに影響を受けやすいため、冷静な判断力が求められる。
モトクロスコース
ふだん営業しているモトクロスコースがコースレイアウトに含まれる会場もあります。
ジャンプさえとばなければ走りやすい地形ではありますが、「速く走る」のが難しいセクションでもあります。
特徴は以下の通りです。
- ジャンプやバンク、ワダチが含まれ、高速でリズムよく走る技術が求められる。
- エンデューロライダーにとってはやや慣れない要素で、ジャンプを省略するライン選びも可能。
- 路面がドライの場合は、スライドコントロールが求められる。
- スピードを上げるだけでなく、無駄のない走行ラインの選択が鍵となる。
ロックセクション
いわゆる「ガレ場」です。
1回の転倒で車体へのダメージが大きくなりがちで、適切なサスセッティングが重要となります。
特徴は以下の通りです。
- 大小の岩が散在する技術的なエリアで、トラクションが得られにくい場所が多い。
- スムーズなアクセルワークとバランスを保つためのボディポジションが重要。
- 低速での安定した走行が求められるが、ペースを落としすぎるとリズムを崩す原因になる。
- タイヤの選択や空気圧の調整が走破性に大きく影響する。
- 特に疲労が溜まる後半ではミスが増えやすいエリア。
特殊セクション
人工的に設置された「丸太」や「タイヤ」で作られたセクションです。
以前は丸太やタイヤセクションといえば「サザンハリケーン大阪」というイメージでしたが、今ではさまざまなコースで「丸太越え」が必要なシチュエーションが増えています。
特徴は以下の通りです。
- 丸太やタイヤ、人工的な段差など、バイクコントロールのスキルが試されるエリア。
- 一見短い区間だが、ミスをするとタイムロスやスタックに直結する。
- スピードを抑えた慎重な走行が求められる場合と、勢いをつけて一気に突破する場合がある。
- 他ライダーのミスでラインが塞がれることも多く、冷静な判断が重要。
- レースによって障害物の種類や難易度が大きく異なるため、下見が重要。
優先的に取り組むべき練習項目
前項であげた「8項目」を、ざっくり「練習項目」として書き換えると以下の通りです。
練習項目
- コーナリング(加速・減速ふくむ)
- ウッズ
- ヒルクライム
- ダウンヒル
- ガレ場
- ギャップ
- 難所
- 丸太&タイヤ越え
- キャンバー
この項目の中で、初~中級者の方が優先的に取り組むべき練習項目を3つに絞ります。
- コーナリング(加速・減速ふくむ)
- ウッズ
- ヒルクライム
コーナリング(加速・減速ふくむ)
どのコース会場も、究極をいうと「コーナーの組み合わせ」で形成されています。
仮に1周60個のコーナーがあるとして、速いライダーと遅いライダーの差が1秒だとすると、たったの1周だけで60秒の差がつく計算になります。
1周だと「たった60秒」ですが周回するごとに積み重なり、レースを終えることには「とんでもない差」となります。
この内容は以前書いた記事で、師匠に教わった内容なのでそちらも参考にしてください。
オフロードバイクで「速くなる」基礎練の極意|トップライダーの特別講義編|
つまり「上達」を目指すには、初~中級者だけでなく、上級者も含めたすべてのライダーにとって「コーナリング」技術を高めることが必要となります。
コーナリング練習方法
ズバリ、基礎練です。
もはやこれ以上もこれ以下もありません(笑)。
「基礎練」については過去に「チョーーくわしく」解説したので別記事を参照ください。
エンデューロライダーに贈る「速くなる」基礎練の極意シリーズ まとめ
何も考えずに基礎練を繰り返してしまうと「悪いクセ」を体に染みつかせることになりかねません。
トップライダーに手取り足取り、ライディングにおける「力の入れ方」を詳しく教えてもらえる環境であればまだしも、聞けない方が多いのも事実。
そこで私が、スポーツバイオニクス(生理学、解剖学、力学)にもとづき、6か月で100時間以上の基礎練を積み重ねて発見した、再現性のある「力の入れ方」を徹底解説します。
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ウッズ
ウッズは「傾斜」「ライン取り」においてとても重要な練習になります。
ふだん河原のような「平たん」な路面で練習している方はとくにです。
路面に傾斜が加わると、「サスセッティング」「エンジン特性」「アクセルワーク」が重要となってきます。「平たん」な路面では問題なくても、「傾斜」が加わると急に走りにくくなる場合があります。
「ライン取り」はどのセクションにおいても非常に重要となり、ウッズで意識して練習していくと「ラインが見える」ようになります。
「調子よい!」と河原で思っていても、ウッズで練習してみると「ダメダメ」な経験を何度もしました。
サスセッティングがダメでフロントがハジかれまくったり、キャブセッティングがダメでめちゃくちゃ走りにくかったり、タイヤ選択をミスってマディで前に進まなかったり……。
ウッズ練習方法
なるべく「平たん」なセクションではなく、「傾斜」があるセクションで練習するようにします。
以下に意識するポイントをまとめます。
- 周回できるセクションにする
- 「速く」ではなく「スムーズ」を目指す
- 同じラインばかりでなく、色々ラインを試す
- なるべくスタンディングする
- 傾斜に合わせたポジションをとる
特に重要な項目2つを説明します。
「速く」ではなく「スムーズ」を目指す
ウッズは「アクセルを開けて高回転域を使用」というよりは「高めのギアで低中速域を使用」という走り方をすると、疲れずに速く走ることができます。
トップライダーはウッズでとんでもない速さで走り抜けていきますが、必ずしも「パワーバンドでアケアケ」で走っているとは限りません。
速く走ろうとすると、どうしても「アクセル開度が大きく」なり、ギクシャクしやすくラインも外しやすくなるため、「スムーズさ」を意識して走行します。
傾斜に合わせたポジションをとる
「バイクの真ん中にのる」のがライディングの基本となりますが、傾斜が加わることにより「真ん中」が変わるため、ポジションを変える必要があります。
初~中級者だと傾斜に合わせたポジションが分からない傾向にあるため、走りが不安定になりがちです。
はじめは傾斜があるセクションで「真ん中にのる」というのが難しいですが、「あ、走りやすいな!」と思うポジションを自分で見つけていくのが、上達の近道となります。
ヒルクライム
「ヒルクライム」はレースの勝敗に大きく関係するため、「登れるか登れないか」でその後の展開が大きく変わる場合があります。
エンデューロの醍醐味であるヒルクライム。
コースによっては「ボーナスライン」として難易度が高めなヒルクライムが設定され、それを避けて通る「エスケープライン」を選択すると、大幅なタイムロスとなります。
簡単なヒルクライムでも「マディ」になると急に「激ムズ」になる場合もあるため、しっかり練習に取り組んでおく必要があります。
ヒルクライムで「大渋滞」が発生する場合がありますが、しっかり練習に取り組んでおけば「転倒者をよけるライン」や「誰もいないライン」を選択できるようになります。
ヒルクライム練習方法
「ヒルクライムの達人」といえばハードエンデューロライダーです。
ここは専門家から学びましょう。
練習項目の活用法
ここまでの項目を読んでそのように思う方もいると思います。
練習項目をもとに、「練習場所を決定」「パラメーター分析」ができます。
練習場所の決定
実際に私が作った表をもとに解説します。
練習項目 | 河原 | 山 | 勝沼 |
---|---|---|---|
コーナー | ◎ | △ | ◎ |
ゆるい登り・下り | ◎ | ◎ | |
ヒルクライム・ダウンヒル | ◎ | ○ | |
ギャップ | ◎ | ○ | |
丸太 | ◎ | ※○ | |
難所 | ◎ | ※○ | |
ガレ場 | ◎ | ||
キャンバー | ○ | ※○ |
※○:ハードエンデューロセクションを使用する場合
自分で自分に失笑しました……。
実際に表を作ってみると、練習場所でできる「練習項目」が一目瞭然です。
この考えをもとにして、基礎練だけでなく山練やコース練を取り入れ、「総合的な実力」の強化を決意しました。
パラメーター分析
練習項目をもとにして師匠の実力を10とし、自己分析でパラメーターを数値化しました。
以下が2024年の6月にわたしが実際に作った数値表です。
項目 | 師匠 | くんすけ |
---|---|---|
コーナー | 10 | 8 |
登り | 10 | 7 |
下り | 10 | 7 |
ヒルクライム | 10 | 5 |
ダウンヒル | 10 | 6 |
ギャップ | 10 | 6 |
丸太 | 10 | 6 |
難所 | 10 | 4 |
ガレ場 | 10 | 8 |
キャンバー | 10 | 7 |
※あくまで「師匠の実力に対して」なので、比較対象者によって数値変更があります。
実際に表を作ってみて、自分の取り組むべき項目が明確になりました。
うすうす実力差は理解していたつもりでしたが、実際に数値化してみて「なかなかの衝撃」でした。
コーナーは「8」としていますが、「低・中・高速」すべてのコーナーでまだまだ離されてしまい、ガレ場も「8」ですが一緒に走るとかならず差が開きます。
わたしは「ヒルクライム」と「難所」が苦手と明確にわかり、山での練習にも重点をおくように考えが変わりました。
おわりに
今回はエンデューロで上達するのに必要な練習項目「3選」を徹底解説ということで、JNCC&WEXのコース構成要素や優先的に取り組むべき練習項目、練習項目の活用法を紹介しました。
JNCC&WEXのコース構成要素は以下の通り。
- グラストラック・ゲレンデセクション
- ウッズセクション
- ヒルクライム&ダウンヒルセクション
- モトクロスコース
- ロックセクション
- 特殊セクション(丸太、タイヤなど)
コース構成要素をもとに考えた練習項目は以下のとおり。
練習項目(赤字は優先項目)
- コーナリング(加速・減速ふくむ)
- ウッズ
- ヒルクライム
- ダウンヒル
- ガレ場
- ギャップ
- 難所
- 丸太&タイヤ越え
- キャンバー
なんとなーーく練習に取り組むのと、明確に目標を立てて練習に取り組むのでは、努力した先の到達地点がまるで変ってきます。
今回紹介した考え方を参考にして、ぜひ自分に合った練習を組み立ててみてください。
最後まで読んでいただきありがとうございました。